WBGTと熱中症の覚え方:衛生管理者試験の計算と症状の分類

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衛生管理者試験では、WBGT(暑さ指数、湿球黒球温度)の式と、熱中症の症状の分類がよく出ます。屋内と屋外で式が違い、係数も小数で並ぶので混乱しやすいところです。「湿球がいちばん重い」「屋外だけ気温が入る」の2⁠点を押さえれば、式は迷わなくなります。

WBGTの意味と屋内・屋外の式

結論

屋外はWBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度、屋内はWBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度。WBGT基準値は作業がきついほど低く、暑熱順化していない人ほど低い。熱中症はⅠ度(⁠め⁠ま⁠い⁠・⁠こ⁠む⁠ら⁠返⁠り⁠)、Ⅱ度(⁠頭⁠痛⁠・⁠吐⁠き⁠気⁠・⁠倦⁠怠⁠感⁠)、Ⅲ度・Ⅳ度(⁠意⁠識⁠障⁠害⁠・⁠高⁠体⁠温⁠)の順に重くなります。

WBGTは、人体と外気の熱のやりとりに影響の大きい湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標です。環境省の熱中症予防情報サイトでは、次の式で算出すると説明しています([出典])。

湿球温度は水で湿らせたガーゼを巻いた温度計の値で、汗の蒸発のしやすさ(⁠湿⁠度⁠)を表します。黒球温度は黒く塗った銅の球の中の温度で、日射や輻射熱の影響を表します。乾球温度はふつうの気温です。単位はいずれも℃です。

計算問題は、数値を式に入れるだけです。たとえば屋内で湿球温度2⁠5⁠℃・黒球温度3⁠0⁠℃なら、0.7×25+0.3×30=17.5+9=26.5(⁠℃⁠)。屋内か屋外かを読み違えないことが一番のポイントです。

WBGT基準値:身体作業強度と暑熱順化

厚生労働省の「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(令和8⁠年3月1⁠8⁠日公表)は、身体作業強度と暑熱順化の有無に応じたWBGT基準値を示しています([厚生労働省])。

身体作業強度順化者/非順化者
0 安静3⁠3⁠℃/3⁠2⁠℃
1 低代謝率3⁠0⁠℃/2⁠9⁠℃
2 中程度代謝率2⁠8⁠℃/2⁠6⁠℃
3 高代謝率2⁠6⁠℃/2⁠3⁠℃
4 極高代謝率2⁠5⁠℃/2⁠0⁠℃

作業がきついほど、また暑熱順化していないほど基準値は低く(⁠=⁠早⁠く⁠危⁠険⁠に⁠な⁠る⁠)なります。WBGT値が基準値を超える(⁠お⁠そ⁠れ⁠が⁠あ⁠る⁠)ときは、冷房などでWBGT値を下げる、作業強度の低い作業に変える、などの対策を行います。

暑熱順化は、7⁠日⁠以⁠上かけて暑熱環境での身体的負荷を増やしていく方法が挙げられています。熱へのばく露が中断すると4⁠日後には順化の顕著な喪失が始まり、3〜4週間後には完全に失われるとされています。休み明けの作業に注意が必要な理由です。

熱中症の分類(⁠重⁠症⁠度⁠)と応急処置

ガイドラインの「熱中症の症状と分類」では、症状を重症度の小さいものから次のように分けています。

熱中症が疑われる症状が出たら、いったん作業から離し、涼しい場所で身体を冷やし、水分と塩分をとらせます。症状に応じて救急隊を要請し、または医師の診察を受けさせます。本人が「⁠大⁠丈⁠夫⁠」と言ってもためらわずに担当者へ連絡し、一人きりにしないことも示されています。

水分・塩分は、0.1〜0⁠.⁠2⁠%の食塩水や、ナトリウム40〜80mg/100mlのスポーツドリンクなどを20〜3⁠0⁠分ごとにカップ1〜2杯程度とるのが望ましいとされています。多量の発汗を伴う作業場では、塩と飲料水の備え付けが義務です(安衛則第⁠6⁠1⁠7⁠条)。

令和7⁠年6月1⁠日からは、熱中症のおそれのある作業について、報告体制の整備と悪化防止の手順の作成・周知も義務になっています(安衛則第⁠6⁠1⁠2⁠条⁠の⁠2。法改正のまとめ)。

寒冷・高気圧など他の温熱・気圧の障害との区別

労働基準法施行規則別表第1の2は、物理的因子による業務上の疾病として、暑熱な場所の業務による熱中症、寒冷な場所の業務による凍傷、高圧室内作業・潜水作業による潜函病・潜水病、気圧の低い場所の業務による高山病・航空減圧症を分けて挙げています([e-Gov])。

減圧症は、高気圧下で体内に溶けていた窒素などが、急に気圧が下がることで血液中などで気泡になって起こるといわれ、四肢の痛みや中枢神経の障害が見られます([厚生労働省])。「熱中症は気泡が原因」のように、原因を入れ替えた選択肢に注意します。騒音・放射線は騒音障害の覚え方・電離放射線の覚え方へ。

出⁠典:環境省 熱中症予防情報サイト「暑さ指数(⁠W⁠B⁠G⁠T⁠)について」([出典])、厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」([厚生労働省]・[厚生労働省])、e-Gov法令検索の労働安全衛生規則([e-Gov])・労働基準法施行規則、厚生労働省「高気圧作業安全衛生規則の一部を改正する省令案 概要」。2⁠0⁠2⁠6⁠年10月2⁠3⁠日確認。

本番形式の問題で確かめる

この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。

第1問 / 3労働衛生(有害業務)

酸素欠乏症等及び減圧症に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

第2問 / 3労働衛生

事務所衛生基準規則に定める設備の点検等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

第3問 / 3労働衛生(有害業務)

騒音性難聴に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

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よくある質問

WBGTの屋内と屋外の式の違いは何ですか?

屋外(⁠日⁠射⁠あ⁠り⁠)は「WBGT=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度」、屋内(⁠日⁠射⁠な⁠し⁠)は「WBGT=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度」です(環境省 熱中症予防情報サイト)。屋外だけ乾球温度(⁠気⁠温⁠)の項があり、どちらも湿球温度の係数0.7が最も大きくなっています。

暑熱順化した人と、していない人のWBGT基準値はどちらが高いですか?

暑熱順化した人のほうが高く(⁠暑⁠さ⁠に⁠耐⁠え⁠ら⁠れ⁠る⁠)、順化していない人は低く設定されています。たとえば中程度代謝率の作業では、順化者2⁠8⁠℃、非順化者2⁠6⁠℃です。作業がきついほど基準値は低くなります。

熱中症のⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度の違いは?

Ⅰ度はめまい・失神(⁠熱⁠失⁠神⁠)、筋肉痛・筋肉の硬直(⁠熱⁠痙⁠攣⁠)、大量の発汗。Ⅱ度は頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感(⁠従⁠来⁠の⁠熱⁠疲⁠労⁠)、集中力や判断力の低下。Ⅲ度・Ⅳ度は意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温(従来の熱射病や重度の日射病)です。

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出典

数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。

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