有機溶剤用の局所排気装置のフードの型式と、出し得る能力を有すべき制御風速との組合せとして、法令上、正しいものはどれか。
衛生管理者試験に出る法改正:化学物質規制・熱中症・事務所則・情報機器
会社の先輩から譲ってもらったテキストや、数年前の問題集で勉強している人は多いはずです。衛生管理者試験の範囲は大半が昔から変わりませんが、ここ数年で数字や仕組みが変わった論点がいくつかあります。第一種衛生管理者・第二種衛生管理者に共通する事務所則と、第一種の有害業務に出る化学物質規制を中心に、古いテキストのどこを上書きすればよいかを条文と施行日で整理します。
衛生管理者試験の法改正はいつから出る?
結論
古いテキストはそのまま捨てなくて大丈夫。ただし事務所則(照度・便所)、化学物質管理者と保護具着用管理責任者、熱中症の報告体制、呼吸用保護具の通達、情報機器作業のガイドラインは現行の内容で覚え直します。試験の基準日ははっきりしないので、受験時点の現行条文に合わせるのが確実です。
衛生管理者試験について、「何月何日時点の法令で出題する」という基準日を明記した試験協会の案内は、確認できた範囲では見つかりませんでした。一方、協会の公表試験問題のページには「令和8年1月1日以降に施行された法令に対応していない」と注記されています([協会サイト])。つまり、過去の問題や解説は、その後の改正で正答が変わることがあります。
実務の観点でも、衛生管理者として働くときに使うのは現行のルールです。受験する時点で施行されている条文を基準に覚えておくと、試験でも実務でも困りません。
ここ数年の主な改正と施行日
| 改正の内容 | 施行日 |
|---|---|
| 事務所則の便所(独立個室型)・救急用具 | 令和3年12月1日 |
| 事務所則の気温の努力目標(下限を18度に) | 令和4年4月1日 |
| 事務所則の照度(2区分に) | 令和4年12月1日 |
| 特殊健診の実施頻度の緩和 | 令和5年4月1日 |
| 化学物質管理者・保護具着用管理責任者の選任 | 令和6年4月1日 |
| 第三管理区分の場所の措置の強化 | 令和6年4月1日 |
| 熱中症の報告体制・手順の作成(安衛則第612条の2) | 令和7年6月1日 |
化学物質の自律的管理(第一種衛生管理者の法改正)
第一種で出る有害業務の分野では、化学物質の管理が「個別の規則で決められたことを守る」方式から、リスクアセスメントに基づいて事業者が自ら管理する方式へ広がりました。試験で問われやすいのは、新しく置くことになった2つの役割です。
- 化学物質管理者(安衛則第12条の5):リスクアセスメント対象物を製造し、または取り扱う事業場ごとに選任。表示・リスクアセスメント・ばく露低減措置・労働災害時の対応・記録・教育などの技術的事項を管理します。選任は事由の発生から14日以内で、製造する事業場では厚生労働大臣が定める講習の修了者などから選びます
- 保護具着用管理責任者(安衛則第12条の6):化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果に基づく措置として保護具を使わせるときに選任。保護具の選択・使用・保守管理を管理します。こちらも14日以内の選任です
あわせて、作業環境が良好な事業場では特殊健康診断の頻度を「6月以内ごとに1回」から「1年以内ごとに1回」に緩和できるようになり(令和5年4月1日施行)、改善措置の後も第三管理区分となった場所では外部の作業環境管理専門家の意見を聴くなどの措置が加わりました(令和6年4月1日施行、有機則第28条の3の2など)。くわしくは作業環境測定の覚え方と特殊健康診断の覚え方で扱います。
事務所衛生基準規則の改正(第一種・第二種共通)
事務所則は第二種衛生管理者の関係法令にも含まれる範囲です。令和3年厚生労働省令第188号などで、次の点が変わりました。
- 照度(第10条):一般的な事務作業300ルクス以上、付随的な事務作業150ルクス以上の2区分。改正前の「精密・普通・粗な作業」の3区分は古い表記です
- 気温(第5条第3項):空気調和設備を設けている場合、18度以上28度以下になるよう努める。下限は17度から18度に改められました
- 便所(第17条・第17条の2):男女別が原則。同時に就業する労働者が常時10人以内なら、男女を区別しない独立個室型の便所1個で足ります
- 救急用具(第23条):負傷者の手当に必要な救急用具・材料を備え、場所と使い方を周知する。具体的な品目を並べた規定はなくなりました
数字の全体像は関係法令の数字の覚え方にまとめています。
熱中症対策の義務化(安衛則第612条の2)
令和7年6月1日から、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、事業者に次の2つが義務づけられました(令和7年厚生労働省令第57号)。
- 熱中症の自覚症状がある人や、熱中症が疑われる人を見つけた人が報告する体制を整え、周知する
- 作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察を受けさせるなど、悪化を防ぐ措置の内容と手順を作業場ごとに定め、周知する
厚生労働省が令和8年3月18日に公表した「職場における熱中症防止のためのガイドライン」では、対象の作業を「WBGT値が28度以上又は気温が31度以上の場所において継続して1時間以上又は1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業」と説明しています([厚生労働省])。WBGTの式や熱中症の分類はWBGTと熱中症の覚え方へ。
ガイドライン・通達の差し替え
労働衛生の問題は厚生労働省の指針や通達から出ることが多く、古い教材は廃止された文書を出典にしていることがあります。
- 情報機器作業:「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」は廃止され、令和元年7月12日の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に変わりました
- 騒音:「騒音障害防止のためのガイドライン」は令和5年4月20日に改訂され、騒音健診の検査音圧などが変わりました(騒音障害の覚え方)
- 呼吸用保護具:防じんマスク・防毒マスクの旧通達(平成17年)は廃止され、令和5年5月25日の通達にまとまりました(防毒マスク・防じんマスクの覚え方)
- 電離放射線:眼の水晶体の等価線量限度が改正され、令和3年4月1日から施行されています(電離放射線の覚え方)
これから施行される改正もある
令和7年法律第33号(労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律)は段階的に施行されていて、e-Gov法令検索の改正履歴では2027年1月1日・2027年4月1日・2028年4月1日・2030年4月1日に施行される部分がまだ残っています([e-Gov])。すでに施行された部分では、作業環境測定法第2条に「個人ばく露測定」の定義が加わっています。受験日の前後に施行日が来る改正は、受験日時点の条文を確認してください。
古いテキストで危ない箇所の見分け方
- 事務所の照度が「精密な作業・普通の作業・粗な作業」の3区分で書かれている
- 空気調和設備の気温の努力目標が「17度以上」になっている
- 「VDT作業」「VDTガイドライン」という名前で情報機器作業を説明している
- 化学物質管理者・保護具着用管理責任者が載っていない
- 救急用具の具体的な品目(包帯材料など)を覚えさせている
- 熱中症の出典が「職場における熱中症予防基本対策要綱」だけになっている
ひとつでも当てはまる教材は、発行から時間がたっています。その教材の他の部分も、数字だけは現行条文で確かめてから覚えると安心です。最新の公表試験問題の使い方は独学で受かるための公表問題の使い方で紹介しています。
本番形式の問題で確かめる
この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。
事務所衛生基準規則に定める事務室の気積及び換気に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
「職場における腰痛予防対策指針」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
関連する分野を練習する
よくある質問
古いテキストで勉強しても大丈夫ですか?
大半の論点は今も同じですが、事務所則の照度・便所、化学物質管理者、熱中症の報告体制、呼吸用保護具の通達などはここ数年で変わっています。この記事の一覧で該当箇所だけ現行の条文に上書きしてから使うのが安全です。
試験はいつ時点の法令で出題されますか?
衛生管理者試験について、出題の基準日を明記した協会の案内は確認できませんでした。協会の公表試験問題には「令和8年1月1日以降に施行された法令に対応していない」と注記されています。受験時点の現行条文で覚えておくのが確実です。
熱中症対策の義務化はいつからですか?
労働安全衛生規則第612条の2が令和7年厚生労働省令第57号で新設され、令和7年6月1日から施行されています。熱中症を生ずるおそれのある作業について、報告させる体制の整備と、悪化を防ぐ措置の手順の作成・周知を事業者に求めています。
事務所の照度の基準は何ルクスですか?
事務所衛生基準規則第10条で、一般的な事務作業は300ルクス以上、付随的な事務作業は150ルクス以上です(令和4年12月1日施行)。改正前は3区分だったため、古い教材の数字とは一致しません。
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出典
数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。
- 安全衛生技術試験協会
- 厚生労働省
- e-Gov法令検索
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
- 事務所衛生基準規則(e-Gov法令検索)
- 作業環境測定法(e-Gov法令検索)
- e-Gov法令検索
- e-Gov法令検索
- 厚生労働省「労働安全衛生法の新たな化学物質規制」(厚生労働省)
- 「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(厚生労働省)
- 愛媛労働局「事務所衛生基準規則等の改正」(厚生労働省)
このサイトは公益財団法人安全衛生技術試験協会とは関係のない学習用サービスです。法令の解釈や会社での運用は、所轄の労働基準監督署や専門家(社会保険労務士など)に確認してください。編集方針