次の業務のうち、労働安全衛生規則に基づき、労働者を就かせるときに特別の教育を行わなければならないものはどれか。
特殊健康診断の覚え方:対象業務・項目・歯科医師の健診
特殊健康診断は、第一種衛生管理者の関係法令(有害業務)の定番です。「どの業務に」「いつ」「何を調べるか」「誰に報告し何年保存するか」と問われる軸が多く、全部を表で覚えようとすると挫折します。「基本は6か月ごと」を軸に、項目は代表的な物質だけ、保存年数は例外だけを押さえるのが現実的です。
特殊健康診断の種類:法令によるものと指針によるもの
結論
特殊健診は雇入れ・配置替えの際と6月以内ごとに1回が基本。項目はトルエン=尿中の馬尿酸、キシレン=尿中のメチル馬尿酸、ノルマルヘキサン=尿中の2・5-ヘキサンジオン、鉛=血中の鉛と尿中のデルタアミノレブリン酸。歯科医師の健診は塩酸・硝酸・硫酸・亜硫酸・弗化水素・黄りんなど歯に有害な物の業務です。
- 法令による特殊健診:労働安全衛生法第66条第2項に基づき、安衛令第22条第1項の有害な業務(高圧室内業務・潜水業務、放射線業務、特定化学物質、鉛、四アルキル鉛、有機溶剤など)に従事する労働者に行う。一定の物質(ベンジジンなど、令第22条第2項)は、過去に従事させたことがあり現に使用している労働者にも行う
- じん肺健康診断:じん肺法に基づく(じん肺の覚え方)
- 歯科医師による健康診断:労働安全衛生法第66条第3項・安衛令第22条第3項
- 指針・ガイドラインによる健診:騒音健診(6月以内ごと)、腰痛の健診(6月以内ごと)、情報機器作業の健診(1年以内ごと)など。法令ではなく厚生労働省の指針・ガイドラインで示されたもの
対象業務と実施時期
| 業務(根拠) | 定期の時期 |
|---|---|
| 有機溶剤業務(有機則第29条) | 6月以内ごと |
| 特定化学物質(特化則第39条) | 別表第3の期間ごと |
| 鉛業務(鉛則第53条) | 6月以内ごと(一定の業務は1年以内ごと) |
| 四アルキル鉛等業務(四アルキル則第22条) | 6月以内ごと |
| 石綿(石綿則第40条) | 6月以内ごと |
| 放射線業務(電離則第56条) | 6月以内ごと |
| 高圧室内業務・潜水業務(高圧則第38条) | 6月以内ごと |
| 歯に有害な物を発散する場所の業務(安衛則第48条) | 6月以内ごと(歯科医師) |
いずれも雇入れの際、その業務への配置替えの際にも行います。有機溶剤・鉛などでは、作業環境測定の評価が直近3回連続で第一管理区分であるなどの要件を満たせば、定期の健診を1年以内ごとに1回にできます(有機則第29条第6項、鉛則第53条第4項など)。
物質と検査項目の対応(代表例)
有機溶剤は、有機則の別表で物質ごとの検査項目が決まっています。尿中の代謝物を調べるものが多く、名前の似た物質の入れ替えがねらわれます([e-Gov])。
| 有機溶剤 | 検査項目(有機則別表) |
|---|---|
| キシレン | 尿中のメチル馬尿酸の量 |
| トルエン | 尿中の馬尿酸の量 |
| ノルマルヘキサン | 尿中の2・5-ヘキサンジオンの量 |
| N・N-ジメチルホルムアミド | 肝機能検査、尿中のN-メチルホルムアミドの量 |
| 1・1・1-トリクロルエタン | 尿中のトリクロル酢酸又は総三塩化物の量 |
| 二硫化炭素 | 眼底検査 |
「トルエン=馬尿酸、キシレン=メチル馬尿酸」と、メチルの有無で区別します。二硫化炭素だけは尿ではなく眼底検査で、網膜変化を伴う障害(化学物質による健康障害の覚え方)とつながっています。
- 鉛(鉛則第53条):血液中の鉛の量、尿中のデルタアミノレブリン酸の量
- 電離放射線(電離則第56条):被ばく歴の調査と評価、白血球数・白血球百分率、赤血球数と血色素量など、白内障に関する眼の検査、皮膚の検査(電離放射線の覚え方)
歯科医師による健康診断の対象業務
安衛令第22条第3項で、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務が対象です([e-Gov])。酸などで歯が溶ける(歯牙酸蝕)イメージで覚えます。厚生労働省告示の表でも、塩素の疾病に「歯牙酸蝕」が挙がっています。
実施時期は、雇入れ・配置替えの際と6月以内ごとに1回(安衛則第48条)。条文に名前が挙がっているのは上の6つで、あとは「その他歯又はその支持組織に有害な物」です。「有機溶剤の業務は歯科医師の健診の対象」のように、別の特殊健診と混ぜた選択肢に注意します。
結果報告と個人票の保存
- 有機溶剤等健康診断(定期):遅滞なく所轄労働基準監督署長に報告。労働者数による限定はない(有機則第30条の3)
- 歯科医師による健診(定期):規模にかかわらず報告(安衛則第52条第2項)
- 一般の定期健康診断:常時50人以上の事業者が報告(安衛則第52条第1項)
| 個人票・記録 | 保存期間 |
|---|---|
| 有機溶剤・鉛・高気圧 | 5年 |
| 特定化学物質 | 5年(特別管理物質は30年) |
| 電離放射線 | 30年(5年保存後に指定機関へ引き渡すときを除く) |
| 石綿 | 常時従事しなくなった日から40年 |
| じん肺健康診断の記録 | 7年(エックス線写真も) |
基本は5年で、特別管理物質30年・電離放射線30年・石綿40年・じん肺7年が例外です。測定記録の年数と並べて覚えるなら作業環境測定の覚え方、関係法令の数字全体は有害業務の関係法令の覚え方へ。
本番形式の問題で確かめる
この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。
特別の教育に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
化学物質管理者に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。
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よくある質問
歯科医師による健康診断が必要な有害業務は?
労働安全衛生法施行令第22条第3項で、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス・蒸気・粉じんを発散する場所における業務です。雇入れ・配置替えの際と、その後6月以内ごとに1回行います(安衛則第48条)。
有機溶剤の特殊健康診断の対象者は?
有機溶剤中毒予防規則第29条で、屋内作業場等(第3種有機溶剤等はタンク等の内部に限る)における有機溶剤業務に常時従事する労働者です。雇入れ・配置替えの際と、その後6月以内ごとに1回行います。
特殊健康診断の結果は報告が必要ですか?
有機溶剤等健康診断(定期のもの)は、労働者数にかかわらず所轄労働基準監督署長に報告します(有機則第30条の3)。歯科医師による定期の健診も規模にかかわらず報告が必要です(安衛則第52条第2項)。一般の定期健康診断の報告が常時50人以上の事業者に限られるのとの違いが問われます。
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出典
数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。
- 有機溶剤中毒予防規則(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
- 特定化学物質障害予防規則(e-Gov法令検索)
- 鉛中毒予防規則(e-Gov法令検索)
- 石綿障害予防規則(e-Gov法令検索)
- 電離放射線障害防止規則(e-Gov法令検索)
- 高気圧作業安全衛生規則(e-Gov法令検索)
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