衛生管理者の計算問題の解き方:必要換気量・有給休暇・選任人数

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衛生管理者試験の大半は知識問題ですが、毎回のように数字を計算する問題が混ざります。式を1つ覚えていれば取れる問題が多いので、手が止まる人ほど得点源にできます。協会の公表試験問題に出ている形式から、覚える式を3つに絞りました。

衛生管理者の計算問題に出るパターン

結論

覚えるのは①必要換気量=呼出CO2量÷(室内基準濃度−外気濃度)(%なら×100、ppmなら×1,000,000)、②有給の比例付与=通常の日数×週所定日数÷5.2(⁠切⁠り⁠捨⁠て⁠)、③衛生管理者の人数の表の3つ。電卓は持ち込めます。

協会の公表試験問題(⁠令⁠和⁠8⁠年⁠1⁠0⁠月⁠掲⁠載⁠)を見ると、計算が関わる問題は次のような形で出ています。問題文そのものは協会サイト([協会サイト])で確認してください。

パターン出題の形
必要換気量必要換気量を求める式として正しいものを選ぶ(⁠第⁠⁠⁠二⁠⁠⁠種⁠・⁠労⁠働⁠衛⁠生⁠)
年次有給休暇週の所定労働時間・日数と勤続年数から、新たに与える日数を選ぶ(第⁠一⁠種⁠・⁠第⁠二⁠種の関係法令)
衛生管理者の人数・専任労働者数や有害業務の人数から、選任すべき人数や専任の要否を判断する

必要換気量の計算:式と単位のつまずき

必要換気量は、在室者が吐き出す二酸化炭素で室内の濃度が基準を超えないようにするための換気量です。文部科学省の調査研究報告書では、1⁠人当たりの必要換気量を次の式で示しています。

必要換気量(⁠m⁠³⁠/⁠h⁠)= 呼出CO2量(⁠m⁠³⁠/⁠h⁠)÷(室内の基準濃度 − 外気の濃度)× 100 濃度を%で表したときの式。ppmで表すなら「⁠×⁠1⁠0⁠0⁠」が「×1,000,000」になる

つまずきやすいのは単位です。1⁠%=1⁠0⁠,⁠0⁠0⁠0⁠p⁠p⁠mなので、%の式とppmの式では掛ける数が変わります。公表試験問題でもppmで定義した記号を使い、どの換算の式が正しいかを問う形で出ています。「分母は基準濃度−外気濃度(⁠測⁠定⁠値⁠で⁠は⁠な⁠い⁠)」「分子は在室者全員の呼出量」の2⁠点を押さえておけば、選択肢の入れ替えにだまされません。

例題(⁠自⁠作⁠):事務室の大人1⁠人当たりの必要換気量

大人1⁠人のCO2呼出量を0.022m³/h、外気のCO2濃度を0⁠.⁠0⁠4⁠%(⁠4⁠0⁠0⁠p⁠p⁠m⁠)とし、室内の基準を事務所衛生基準規則5条の空気調和設備の基準である二酸化炭素 百万分の1000(⁠0⁠.⁠1⁠%⁠)とすると、

0.022 × 100 ÷(0.1 − 0.04)= 約36.7 m³/h

在室者が1⁠0⁠人なら、この10倍が部屋全体の必要換気量です。呼出量と外気濃度の値は文部科学省の報告書の値を使った試算で、試験では数値が問題文に与えられます。事務室の換気の基準そのものは関係法令の数字の覚え方も参照してください。

年次有給休暇の比例付与日数の数え方

パートタイムなど所定労働日数の少ない労働者には、労働基準法39条3項と同法施行規則24条の3により、通常より少ない日数(⁠比⁠例⁠付⁠与⁠)が与えられます。

継続勤務期間通常の労働者週4⁠日の労働者
6⁠か⁠月1⁠0⁠日7⁠日
1⁠年6⁠か⁠月1⁠1⁠日8⁠日
2⁠年6⁠か⁠月1⁠2⁠日9⁠日
3⁠年6⁠か⁠月1⁠4⁠日1⁠0⁠日
4⁠年6⁠か⁠月1⁠6⁠日1⁠2⁠日
5⁠年6⁠か⁠月1⁠8⁠日1⁠3⁠日
6⁠年6⁠か⁠月⁠以⁠上2⁠0⁠日1⁠5⁠日
労働基準法39条1項・2項、同法施行規則24条の3の表による(いずれも直前の期間の出勤率が8割以上の場合)。

表の比例付与の日数は、通常の日数×(週所定労働日数÷5.2)の小数点以下を切り捨てた値と一致します。例えば週3⁠日・3⁠年6⁠か⁠月継続勤務なら、14×3÷5.2=8.08…で8⁠日(⁠表⁠の⁠値⁠も⁠8⁠日⁠)。問題文の「⁠週⁠所⁠定⁠労⁠働⁠時⁠間⁠」が3⁠0⁠時⁠間⁠未⁠満かどうかを最初に確かめるのがひっかけ対策です。

衛生管理者の選任人数の計算

人数そのものは計算というより表の当てはめです。常時使用する労働者数で決まります(⁠安⁠衛⁠則⁠7⁠条⁠1⁠項⁠4⁠号⁠)。

常時使用する労働者数衛生管理者
5⁠0⁠人⁠以⁠上2⁠0⁠0⁠人⁠以⁠下1⁠人⁠以⁠上
2⁠0⁠0⁠人を超え5⁠0⁠0⁠人⁠以⁠下2⁠人⁠以⁠上
5⁠0⁠0⁠人を超え1⁠,⁠0⁠0⁠0⁠人⁠以⁠下3⁠人⁠以⁠上
1⁠,⁠0⁠0⁠0⁠人を超え2⁠,⁠0⁠0⁠0⁠人⁠以⁠下4⁠人⁠以⁠上
2⁠,⁠0⁠0⁠0⁠人を超え3⁠,⁠0⁠0⁠0⁠人⁠以⁠下5⁠人⁠以⁠上
3⁠,⁠0⁠0⁠0⁠人を超える場合6⁠人⁠以⁠上

迷いやすいのは境目です。「⁠2⁠0⁠0⁠人⁠以⁠下⁠」は1⁠人、「⁠2⁠0⁠0⁠人⁠を⁠超⁠え⁠」から2⁠人なので、ちょうど2⁠0⁠0⁠人なら1⁠人。あわせて、常時1⁠0⁠0⁠0⁠人を超える事業場、又は常時5⁠0⁠0⁠人を超え坑内労働・一定の有害業務に常時3⁠0⁠人⁠以⁠上を従事させる事業場では、少なくとも1⁠人を専任にする必要があります(⁠同⁠5⁠号⁠)。労基則18条の業務は高熱・寒冷・放射線・粉じん・異常気圧・振動・重量物・騒音・有害物などで、深夜業はこの一覧に入っていません。問題文の業務が18条に当たるかを読み取るのがポイントです。詳しくは衛生管理者は何人から必要?へ。

電卓は使える:本番での計算の手順

衛生管理者試験では電卓が使えます(関数電卓・メモ機能付き・スマホの電卓は不可。持ち物の記事)。ただし計算問題の多くは、式の形や表の当てはめを問う五肢択一なので、電卓より式を正しく覚えているかが勝負です。

  1. 問題文の数値に単位(⁠%⁠・⁠p⁠p⁠m⁠・⁠時⁠間⁠・⁠日⁠)で印を付ける
  2. 使う式を問題用紙の余白に書く(⁠解⁠答⁠用⁠紙⁠に⁠は⁠書⁠か⁠な⁠い⁠)
  3. 選択肢の式・数値を、分母と分子の入れ替えや単位の換算違いから先に消す
  4. 残った候補だけ電卓か筆算で確かめる

当サイトの○×ドリルは、こうした数字の入れ替えのひっかけを1⁠問ずつ確認できます。本番は五肢択一なので、仕上げは公表試験問題で形式に慣れてください。試験全体の時間配分は勉強時間と順番も参考になります。

出⁠典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「第⁠一⁠種⁠・⁠第⁠二⁠種衛生管理者」「⁠試⁠験⁠の⁠日⁠程⁠」「⁠試⁠験⁠手⁠数⁠料⁠」「⁠統⁠計⁠」(2⁠0⁠2⁠6⁠年10月2⁠3⁠日確認)。試験の最新情報は同協会の公式サイトで確認してください。 必要換気量の式は文部科学省「学校施設の換気設備に関する調査研究報告書」([出典])、出題形式は同協会の公表試験問題([協会サイト])、有給休暇は労働基準法39条([e-Gov])・同法施行規則24条の3([e-Gov])、選任人数は安衛則7条([e-Gov])、事務室の基準は事務所衛生基準規則5条([e-Gov])による(2⁠0⁠2⁠6⁠年10月2⁠3⁠日確認)。

本番形式の問題で確かめる

この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。

第1問 / 3労働衛生

日射のない屋内作業場で、湿球温度2⁠5⁠℃、黒球温度3⁠5⁠℃、乾球温度3⁠0⁠℃であった。このときのWBGT値として、正しいものはどれか。

第2問 / 3関係法令

週所定労働日数5⁠日・週所定労働時間4⁠0⁠時⁠間の労働者が雇入れの日から継続勤務し、各期間の全労働日の8割以上出勤した場合に付与される年次有給休暇の日数に関する次の記述のうち、労働基準法上、正しいものはどれか。

第3問 / 3労働衛生(有害業務)

「騒音障害防止のためのガイドライン」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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よくある質問

衛生管理者試験で電卓は使えますか?

使えます。ただし協会が示す13の機能(⁠四⁠則⁠計⁠算⁠・⁠√⁠・⁠%⁠な⁠ど⁠)以外の機能がある電卓(関数電卓・メモ機能付き)や、スマートフォンの電卓は使えません。計算やメモは問題用紙の余白に書きます。

必要換気量の式で×100と×1,000,000のどちらを使いますか?

二酸化炭素の濃度を%で表すときは×100、ppm(⁠百⁠万⁠分⁠の⁠1⁠)で表すときは×1,000,000です。どちらも「呼出量÷(室内の基準濃度−外気の濃度)」を、濃度の単位に合わせて換算しているだけで、同じ式です。

有給休暇の比例付与は、表を全部覚える必要がありますか?

表の数字は「通常の労働者の日数×(週所定労働日数÷5.2)」の小数点以下を切り捨てた値と一致します。通常の付与日数(10・11・12・14・16・18・2⁠0⁠日)と5.2を覚えておけば、表を丸暗記しなくても計算で出せます。

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出典

数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。

このサイトは公益財団法人安全衛生技術試験協会とは関係のない学習用サービスです。法令の解釈や会社での運用は、所轄の労働基準監督署や専門家(社会保険労務士など)に確認してください。編集方針