衛生管理者の仕事内容:法律で決まっている職務と毎週・毎月やること

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衛生管理者に選任されたものの、「具体的に何をすればいいのか分からない」という人事・総務の担当者向けに、法律で決まっている職務と、毎週・毎月・毎年の流れを条文に沿って整理します。結論から言うと、軸は週1回の巡視、月1回の衛生委員会、年1回の健康診断とストレスチェックの3つで、その間に記録と改善を積み重ねていく仕事です。

法定の職務(安衛法第⁠1⁠0⁠条の業務のうち衛生に係る技術的事項)

結論

法律上の職務は、安衛法第⁠1⁠0⁠条⁠第⁠1⁠項の業務のうち「衛生に係る技術的事項」の管理(⁠第⁠⁠⁠1⁠⁠⁠2⁠⁠⁠条⁠)と、少なくとも毎週1回の作業場巡視(⁠安⁠衛⁠則⁠第⁠⁠⁠1⁠⁠⁠1⁠⁠⁠条⁠)。実務では、毎週の巡視→毎月の衛生委員会→年1回の定期健診・ストレスチェックと報告を回し、記録を残します。医学的な判断は産業医、労務の手続きは人事と分担します。

労働安全衛生法第⁠1⁠2⁠条⁠第⁠1⁠項は、衛生管理者に、第⁠1⁠0⁠条⁠第⁠1⁠項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項を管理させるとしています。第⁠1⁠0⁠条⁠第⁠1⁠項各号と、それを具体化した省令の事項は次の⁠と⁠お⁠りです。

安衛法第⁠1⁠0⁠条⁠第⁠1⁠項内容
第1号労働者の危険又は健康障害を防止するための措置
第2号労働者の安全又は衛生のための教育の実施
第3号健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置
第4号労働災害の原因の調査及び再発防止対策
第5号(安衛則第⁠3⁠条⁠の⁠2)安全衛生に関する方針の表明、危険性又は有害性等の調査(⁠リ⁠ス⁠ク⁠ア⁠セ⁠ス⁠メ⁠ン⁠ト⁠)と措置、安全衛生に関する計画の作成・実施・評価・改善

労働局の「安全衛生管理体制のあらまし」は、衛生管理者の職務の例として次の項目を挙げています。日々の仕事に落とすときのチェックリストとして使えます。

週1回の職場巡視

衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備・作業方法・衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません(安衛則第⁠1⁠1⁠条⁠第⁠1⁠項)。事業者は、そのための権限を衛生管理者に与えなければなりません(⁠同⁠第⁠2⁠項⁠)。産業医の巡視は少なくとも毎月1回(一定の情報提供と事業者の同意があれば2月に1回)で、頻度が違う点に注意しましょう(⁠安⁠衛⁠則⁠第⁠⁠⁠1⁠⁠⁠5⁠⁠⁠条⁠)。

巡視で何を見るかは法令で細かく決まっていないので、事務所であれば、例えば照明・温度・換気・休養室・整理整頓・救急用具の場所と中身などを確認項目にすることが考えられます。事務室の基準は事務室の温熱・換気・照明、救急用具は救急処置と救急用具で整理しています。

健康診断・衛生委員会など年間の流れ

頻度やること(⁠根⁠拠⁠)
毎週作業場等の巡視と、有害のおそれがあるときの措置(⁠安⁠衛⁠則⁠第⁠⁠⁠1⁠⁠⁠1⁠⁠⁠条⁠)
毎月衛生委員会(毎月1回以上開催、議事の概要を労働者に周知、記録3⁠年保存。安衛則第⁠2⁠3⁠条)。長時間労働者の時間外・休日労働の算定と面接指導の案内(同第⁠5⁠2⁠条⁠の⁠2)
雇入れのつど雇入時の健康診断(⁠安⁠衛⁠則⁠第⁠⁠⁠4⁠⁠⁠3⁠⁠⁠条⁠)、雇入れ時の安全衛生教育(⁠同⁠第⁠⁠⁠3⁠⁠⁠5⁠⁠⁠条⁠)
年1回定期健康診断(1⁠年以内ごとに1回。安衛則第⁠4⁠4⁠条)と、常時5⁠0⁠人⁠以⁠上なら結果報告(⁠同⁠第⁠⁠⁠5⁠⁠⁠2⁠⁠⁠条⁠)。ストレスチェック(同第⁠5⁠2⁠条⁠の⁠9)と、常時5⁠0⁠人⁠以⁠上なら報告(同第⁠5⁠2⁠条⁠の⁠2⁠1)
6⁠か⁠月ごと深夜業など特定業務従事者の健康診断(6月以内ごとに1回。安衛則第⁠4⁠5⁠条)

衛生委員会では、衛生に関する規程の作成、衛生教育の実施計画、定期健康診断の結果に対する対策、長時間労働による健康障害の防止、労働者の精神的健康の保持増進のための対策などを調査審議します(⁠安⁠衛⁠則⁠第⁠⁠⁠2⁠⁠⁠2⁠⁠⁠条⁠)。議題の準備と、決まったことの実行管理は、衛生管理者が中心になることが多い仕事です。

記録と報告

記録保存期間
健康診断個人票5⁠年(⁠安⁠衛⁠則⁠第⁠⁠⁠5⁠⁠⁠1⁠⁠⁠条⁠)
衛生委員会の議事の記録3⁠年(安衛則第⁠2⁠3⁠条⁠第⁠4⁠項)
長時間労働者の面接指導の記録5⁠年(安衛則第⁠5⁠2⁠条⁠の⁠6)
ストレスチェック結果(同意を得て提供を受けたもの)・面接指導の記録5⁠年(安衛則第⁠5⁠2⁠条⁠の⁠1⁠3・第⁠5⁠2⁠条⁠の⁠1⁠8)

労働局の資料が職務の例に挙げる「衛生日誌の記載等職務上の記録の整備」は、巡視の結果や指摘事項、対応状況を残しておくことにつながります。様式は法令で決まっていないので、事業場で使いやすい形を決めておくとよいでしょう。

産業医・人事との分担

ストレスチェックでは、衛生管理者は実施者にはなれませんが、実施計画の策定や外部機関との連絡調整を担う実務担当者に指名することが望ましいとされています(ストレスチェックの覚え方)。選任の人数や期限は衛生管理者は何人から必要?で整理しています。また、事業者は衛生管理者に能力向上のための教育・講習等を行うよう努めることとされています(安衛法第⁠1⁠9⁠条⁠の⁠2)。

出⁠典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「第⁠一⁠種⁠・⁠第⁠二⁠種衛生管理者」「⁠試⁠験⁠の⁠日⁠程⁠」「⁠試⁠験⁠手⁠数⁠料⁠」「⁠統⁠計⁠」(2⁠0⁠2⁠6⁠年10月2⁠3⁠日確認)。試験の最新情報は同協会の公式サイトで確認してください。 条文はe-Gov法令検索の現行条文(労働安全衛生法 [e-Gov]、労働安全衛生規則 [e-Gov])、新潟労働局「安全衛生管理体制のあらまし」[厚生労働省](いずれも2⁠0⁠2⁠6⁠年10月2⁠3⁠日確認)。自社の体制や分担の判断は、産業医・社会保険労務士などの専門家や労働基準監督署に確認してください。

本番形式の問題で確かめる

この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。

第1問 / 3関係法令

総括安全衛生管理者、衛生管理者及び産業医に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。

第2問 / 3関係法令

常時8⁠0⁠0⁠人の労働者を使用する製造業の事業場(深夜業を含む業務その他の有害業務に従事する労働者はいない)の衛生管理体制に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。

第3問 / 3関係法令

総括安全衛生管理者に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。

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よくある質問

衛生管理者の仕事は法律でどう決まっていますか?

労働安全衛生法第⁠1⁠2⁠条⁠第⁠1⁠項で、事業者は衛生管理者に、第⁠1⁠0⁠条⁠第⁠1⁠項各号の業務(健康障害を防止するための措置、衛生のための教育、健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置、労働災害の原因の調査と再発防止対策など)のうち「衛生に係る技術的事項」を管理させることとされています。加えて労働安全衛生規則第⁠1⁠1⁠条で、少なくとも毎週1回作業場等を巡視することが定められています。

衛生管理者に権限はありますか?

労働安全衛生規則第⁠1⁠1⁠条⁠第⁠2⁠項で、事業者は衛生管理者に対し、衛生に関する措置をなし得る権限を与えなければならないとされています。巡視で設備・作業方法・衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません(⁠同⁠第⁠1⁠項⁠)。

産業医とはどう役割を分けますか?

産業医は、健康診断・面接指導・ストレスチェックの結果に基づく措置、作業環境の維持管理、健康教育など、医学に関する専門的知識を必要とする事項を行います(労働安全衛生規則第⁠1⁠4⁠条⁠第⁠1⁠項)。衛生管理者は、その実施の段取りや記録、職場の衛生状態の確認など「衛生に係る技術的事項」の管理を担う、と分けて考えると整理しやすくなります。具体的な分担は事業場ごとに決めるもので、迷うときは産業医や労働基準監督署に相談してください。

選任された後に研修を受ける義務はありますか?

労働安全衛生法第⁠1⁠9⁠条⁠の⁠2で、事業者は衛生管理者などに対し、能力の向上を図るための教育・講習等を行い、又は受ける機会を与えるよう努めなければならない、とされています(⁠努⁠力⁠義⁠務⁠)。

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出典

数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。

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