ある事業場の1年間の延べ実労働時間数が800,000時間、労働災害による死傷者数が4人、延べ労働損失日数が200日であった。この事業場の度数率と強度率の組合せとして、正しいものはどれか。
救急処置と救急用具の覚え方:一次救命処置・止血・救急箱
救急処置は、労働衛生(有害業務以外)で一次救命処置(BLS)・止血・熱傷などが問われるテーマです。数字(秒・cm・回数)と手順の順番が狙われるうえ、古い教材の内容が現在の蘇生ガイドラインと違うことがあるので注意が必要です。この記事では日本蘇生協議会のJRC蘇生ガイドライン2020と、救急用具に関する労働安全衛生規則の現行条文で整理します。
一次救命処置(JRC蘇生ガイドライン準拠)の手順
結論
呼吸の確認は10秒以内、迷ったら心停止としてすぐ胸骨圧迫。圧迫は胸骨の下半分を約5cm(6cmを超えない)、1分間100〜120回、人工呼吸ができるなら30:2。止血は直接圧迫、熱傷はまず冷却。救急用具は安衛則第633条で「備える・周知する・清潔に保つ」。品目の列挙(旧第634条)は2021年12月1日に削除されました。
| 場面 | JRC蘇生ガイドライン2020のポイント |
|---|---|
| 心停止の判断 | 反応がなく、呼吸がない、又は普段どおりでない、あるいは判断に迷う場合は心停止と判断し、ただちに胸骨圧迫を開始 |
| 呼吸の確認 | 10秒以内。市民救助者は頸動脈の脈拍を確認する必要はない |
| 胸骨圧迫 | 胸骨の下半分を、約5cm沈むように(6cmを超えない)、1分間100〜120回。毎回胸を元の位置に戻す |
| 人工呼吸 | 技術と意思があれば、胸骨圧迫と人工呼吸を30:2で繰り返す |
| AED | 電気ショックの後は、ただちに胸骨圧迫を再開する |
突然の心停止の直後には、しゃくりあげるような不規則な呼吸(死戦期呼吸)がしばしば見られ、市民はこれを「呼吸をしている」と誤って判断しやすい、とガイドラインは注意しています。試験では「呼吸の有無に迷ったら様子を見る」「ショック後は脈拍を確認してから圧迫を再開する」といった形の誤りが典型です。
なお、この記事は本文を公開資料で確認できた2020年版の内容で書いています。日本蘇生協議会のサイトでは「JRC蘇生ガイドライン2025」も案内されているので(2026年10月23日確認)、最新の版の内容は同協議会の情報で確認してください。
止血法・熱傷の応急手当
- 止血:生命を脅かす外出血には、基本的な止血の第一手段として直接圧迫止血法。圧迫被覆材や止血点止血法よりも直接圧迫止血法を推奨(JRC蘇生ガイドライン2020 ファーストエイド)
- 熱傷:熱源から離した後は、まず冷却を優先する(同)
ひっかけは「まず止血点(心臓に近い動脈)を圧迫する」「熱傷はまず衣服を脱がせて薬を塗る」の形です。骨折の固定や体位などはガイドライン本文の該当箇所を確認できた範囲が限られるため、この記事では扱っていません。教材で学ぶときも、出典の版を確かめてください。
救急用具の備付け(安衛則第633条)
現行の労働安全衛生規則第633条は、事業者に次の3つを求めています。
- 負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備える
- その備付け場所と使用方法を労働者に周知する
- 救急用具・材料を常時清潔に保つ
以前は第634条で、少なくとも備えるべき品目として「ほう帯材料、ピンセット及び消毒薬」「火傷のおそれのある作業場は火傷薬」「重傷者を生ずるおそれのある作業場は止血帯、副木、担架等」が列挙されていました。この第634条は、令和3年厚生労働省令第188号(事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令)で削除され、2021年12月1日から施行されています。古い教材や問題集には第634条の品目が載っていることがあるので、「救急箱の中身は法令で品目が決まっている」とする記述には注意が必要です。
実務で救急箱の中身を決めるときは、作業内容や想定される負傷に応じて、産業医や衛生委員会の意見を聴いて選ぶのが一般的な考え方です。衛生管理者の職務として、救急用具等の点検及び整備が挙げられていることも覚えておきましょう(衛生管理者の仕事内容)。
試験で出るひっかけ(数値・順序)
- 呼吸の確認を「10秒以上かけて」とする
- 胸骨圧迫のテンポを「1分間60〜80回」、深さを「3cm程度」にする
- 心停止の判断に「脈拍の確認」を必須とする(市民救助者は不要)
- 人工呼吸の比を「15:2」「30:1」にする
- AEDのショック後に「呼吸を確認してから」圧迫を再開する
- 止血は「止血点止血法が第一」とする
同じ科目の食中毒は食中毒の覚え方で整理しています。
本番形式の問題で確かめる
この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。
一次救命処置における胸骨圧迫に関する次の記述のうち、JRC蘇生ガイドライン2020に照らして、正しいものはどれか。
一次救命処置における心停止の判断と心肺蘇生に関する次の記述のうち、JRC蘇生ガイドライン2020に照らして、誤っているものはどれか。
関連する分野を練習する
よくある質問
救急箱の中身は法律で決まっていますか?
現行の労働安全衛生規則第633条は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所と使用方法を労働者に周知し、常時清潔に保つことを定めています。品目(ほう帯材料、ピンセット、消毒薬など)を列挙していた第634条は、令和3年厚生労働省令第188号により2021年12月1日から削除されています。何を備えるかは、事業場の作業内容に応じて産業医等の意見を聴いて決めるのが一般的な考え方です。
胸骨圧迫の深さとテンポは?
JRC蘇生ガイドライン2020では、胸骨の下半分を、胸が約5cm沈むように(6cmを超えない)、1分間あたり100〜120回のテンポで圧迫するとしています。毎回の圧迫の後は胸を完全に元に戻します。
呼吸があるか迷ったときはどうしますか?
反応がなく、呼吸がない、又は普段どおりの呼吸ではない場合、あるいはその判断に迷う場合は、心停止と判断してただちに胸骨圧迫を開始します。呼吸の確認は10秒以内に行います。しゃくりあげるような不規則な呼吸(死戦期呼吸)は「呼吸あり」と判断しないよう注意します(JRC蘇生ガイドライン2020)。
出血したとき、止血点を押さえるのが先ですか?
生命を脅かす外出血に対する基本的な止血の第一手段は、出血部位を直接押さえる直接圧迫止血法です。JRC蘇生ガイドライン2020は、止血点止血法などよりも直接圧迫止血法を行うことを推奨しています。
関連する記事
出典
数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者」
- 安全衛生技術試験協会「試験の日程」
- 安全衛生技術試験協会「試験手数料」
- 安全衛生技術試験協会「統計」
- 日本蘇生協議会「JRC蘇生ガイドライン2020」第1章 一次救命処置(www.jrc-cpr.org)
- 第8章 ファーストエイド(www.jrc-cpr.org)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
このサイトは公益財団法人安全衛生技術試験協会とは関係のない学習用サービスです。法令の解釈や会社での運用は、所轄の労働基準監督署や専門家(社会保険労務士など)に確認してください。編集方針