労働基準法施行規則別表第1の2に掲げる、がん原性物質等による疾病に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
ガス・蒸気・粉じん・ミスト・ヒュームの違い:衛生管理者試験の分類問題
第一種衛生管理者の試験では、有害物質が空気中でどんな状態にあるか(ガス・蒸気・粉じん・ミスト・ヒューム)を問う分類問題が出ます。言葉は知っていても、いざ選択肢で並ぶと迷いやすいところです。「気体か粒子か」「粒子なら固体か液体か」「固体の粒子ならどうやってできたか」の3つの問いで、5つすべてを見分けられます。
5つの状態の定義
結論
気体はガスと蒸気(もともと気体か、液体・固体から出てきた気体か)。粒子のうち液体はミスト。固体の粒子は、削る・砕くでできたら粉じん、蒸気が空気中で冷えて固まったらヒュームです。
定義は、化学品の分類と表示の国際ルール(GHS)の文書で確認できます。厚生労働省が掲載している仮訳では、粉塵は「ガス(通常空気)の中に浮遊する物質または混合物の固体の粒子」、ミストは「ガス(通常空気)の中に浮遊する物質または混合物の液滴」、蒸気は「液体または固体の状態から放出されたガス状の物質または混合物」とされています([厚生労働省])。ガスは「50℃で300kPa(絶対圧)を超える蒸気圧を有する物質、または101.3kPaの標準気圧、20℃において完全にガス状である物質」です([厚生労働省])。
| 名前 | 状態とでき方 |
|---|---|
| ガス | 気体:常温・常圧で完全にガス状である物質など |
| 蒸気 | 気体:液体または固体の状態から放出されたガス状の物質 |
| 粉じん | 固体の粒子:空気中に浮遊する固体の粒子。一般に機械的な工程(削る・砕く)でできる |
| ヒューム | 固体の粒子:蒸気が空気中で凝固した固体の粒子(溶接ヒュームの説明による) |
| ミスト | 液体の粒子:空気中に浮遊する液滴。蒸気の凝縮や液体の物理的な剪断でできる |
覚え方:3つの問いで分ける
- 問い1 気体か、粒子か:気体ならガスか蒸気。粒子ならミスト・粉じん・ヒュームのどれか
- 問い2 気体なら、もともと気体か:常温・常圧で気体のものはガス。常温で液体や固体のものから出てきた気体は蒸気。有機溶剤の規則でも「有機溶剤の蒸気」という言い方をします
- 問い3 粒子なら、液体か固体か:液体の粒はミスト。固体の粒は、でき方(機械的に砕けたか、蒸気が固まったか)で粉じんとヒュームに分かれます
ヒュームと粉じんの区別
試験でいちばん迷うのが、固体の粒子どうしのヒュームと粉じんです。違いはでき方にあります。
- 粉じん:一般に機械的な工程(削る・砕く・研磨する)で、固体が細かくなってできる粒子
- ヒューム:蒸気が空気中で冷えて固まった(凝固した)粒子。アーク溶接で生じる溶接ヒュームは「アーク溶接により生じた蒸気が空気中で凝固した固体の粒子」で、粒径は0.1〜1μmとされています([厚生労働省])
「ヒュームは気体」「ヒュームは液体の粒」という選択肢は誤りです。ヒュームは固体、と言い切れるようにしておきます。溶接ヒュームは特定化学物質障害予防規則で規制され、金属アーク溶接等作業主任者の選任なども定められています(作業主任者の覚え方)。
ミストのでき方
ミストは液体の粒です。GHS文書では、一般に過飽和蒸気の凝縮、または液体の物理的な剪断(細かくちぎること)でできると説明されています。スプレーで吹き付けた塗料や、機械加工で飛び散る油の粒をイメージすると分かりやすいでしょう。呼吸用保護具の通達でも「オイルミスト」という言葉が使われています。
法令の中での使われ方
法令の条文でも、この区別はそのまま使われています。分類の言葉を覚えておくと、条文の読み取りも楽になります。
- 労働基準法施行規則第18条第9号:鉛・水銀・クロムなどの有害物の「粉じん、蒸気又はガス」を発散する場所の業務
- 労働安全衛生法施行令第22条第3項:歯科医師の健診の対象は、塩酸・硝酸・硫酸などの「ガス、蒸気又は粉じん」を発散する場所の業務
- 有機溶剤中毒予防規則:局所排気装置などは「有機溶剤の蒸気」の発散源に設ける
- 特定化学物質障害予防規則:金属アーク溶接等作業で生じる「溶接ヒューム」を減らすための換気などを定める
常温で液体の有機溶剤から出る気体は、上の定義では「蒸気」にあたります。条文を見たら、どの状態の物質を相手にしているかを意識してみてください。
保護具の選び方との関係
状態の分類は、保護具の選び方に直結します。粒子(粉じん・ヒューム・ミスト)を取るのは防じんマスク、ガス・蒸気を取るのは防毒マスクです。厚生労働省の通達では、防じんマスクは酸素濃度18%以上の場所であっても、有害なガス・蒸気がある場所では使わないこととされています。粉じんとオイルミストが混ざる場合は、区分がLタイプの防じんマスクを選びます([厚生労働省])。
吸収缶の色や、ろ過式の保護具が使えない場所は防毒マスク・防じんマスクの覚え方、物質ごとの健康障害は化学物質による健康障害の覚え方で整理しています。
本番形式の問題で確かめる
この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。
有害なガスによる健康障害等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
じん肺に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
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よくある質問
ヒュームと粉じんの違いは何ですか?
どちらも空気中に浮かぶ固体の粒子ですが、でき方が違います。粉じんは一般に機械的な工程(削る・砕くなど)でできる粒子です。ヒュームの代表である溶接ヒュームは、アーク溶接で生じた蒸気が空気中で凝固した固体の粒子で、粒径は0.1〜1μmとされています。
ガスと蒸気の違いは何ですか?
国連GHS文書の定義(厚生労働省掲載の仮訳)では、ガスは常温・常圧で完全にガス状である物質などを指し、蒸気は液体または固体の状態から放出されたガス状の物質です。常温で液体の有機溶剤から出てくる気体は「蒸気」と呼びます。
ミストは気体ですか?
いいえ。ミストは空気中に浮かぶ液体の粒(液滴)です。蒸気が凝縮したり、液体が物理的に細かくちぎられたりしてできます。
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出典
数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。
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