法令に基づく健康診断の実施に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
年少者・妊産婦の就業制限の覚え方:労基法と女性労働基準規則
衛生管理者試験の「就業制限」は、年少者(満18歳未満)と妊産婦・女性の話が混ざって出ます。とくに重量物のkgの数字と、「妊産婦だけ」か「女性全員」かの区別で失点しがちです。この記事では労働基準法・年少者労働基準規則(年少則)・女性労働基準規則(女性則)の条文に沿って、入れ替えられやすい点を整理します。
年少者の就業制限(年少者労働基準規則)
結論
妊産婦=妊娠中+産後1年以内の女性(労基法第64条の3)。重量物は満18歳以上の女性なら断続30kg・継続20kg以上が、妊産婦に限らず全女性に禁止(女性則第2条・第3条)。年少者は年齢(16歳)と性別で4区分あり、坑内労働・深夜業・有害業務は一律に制限されます。
労働基準法第62条は、満18才に満たない者を、危険な業務・重量物を取り扱う業務・有害な場所の業務に就かせてはならないと定めています。具体的な範囲は年少則に委ねられていて、重量物は第7条、危険有害業務は第8条です。
| 年齢・性別(年少則第7条) | 断続作業 | 継続作業 |
|---|---|---|
| 満16歳未満・女 | 12kg以上 | 8kg以上 |
| 満16歳未満・男 | 15kg以上 | 10kg以上 |
| 満16歳以上満18歳未満・女 | 25kg以上 | 15kg以上 |
| 満16歳以上満18歳未満・男 | 30kg以上 | 20kg以上 |
有害業務は年少則第8条に並んでいて、衛生管理者試験で問われやすいのは第32号〜第40号のあたりです。水銀・砒素・黄りんなどの有害物を取り扱う業務、鉛・水銀・クロムなどのガス・蒸気・粉じんを発散する場所の業務、土石などのじんあいを著しく飛散する場所、有害放射線にさらされる業務、多量の高熱物体・著しく暑熱な場所、多量の低温物体・著しく寒冷な場所、異常気圧下、身体に著しい振動を与える機械器具、強烈な騒音を発する場所の業務です。年少者の場合は、「申し出たら」といった条件は付かず一律に禁止されます。
- 坑内労働:満18才未満は禁止(労基法第63条)
- 深夜業:満18才未満は午後10時〜午前5時の使用禁止。ただし交替制で使用する満16才以上の男性は除く(同第61条)
- 年齢証明:満18才未満は年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付ける(同第57条)
- 最低年齢:児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでは使用できない(同第56条)
妊産婦の定義と就業制限(女性労働基準規則)
労働基準法第64条の3第1項は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性を「妊産婦」と呼び、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所の業務など、妊娠・出産・哺育に有害な業務に就かせてはならないと定めています。範囲は女性則第2条で、妊娠中の女性については第1号(重量物)から第24号(著しい振動)まで列挙されています。
| 対象 | 就かせてはならない業務(女性則) |
|---|---|
| 妊娠中の女性 | 第2条第1項の全部(重量物、ボイラー、有害物発散場所、高熱・低温、異常気圧、振動など) |
| 産後1年を経過しない女性 | 第2条第1項の多くの業務。ただしボイラー・クレーン・暑熱・寒冷・異常気圧などは「従事しない旨を申し出た場合」に限る(第2条第2項) |
| 妊産婦以外の女性 | 第1号(重量物)と第18号(一定の有害物を発散する場所の業務)だけ(第3条) |
第18号の有害物には、鉛、水銀、カドミウム化合物、クロム酸塩、マンガン、エチルベンゼン、スチレン、トルエン、キシレン、二硫化炭素、メタノールなどが挙がっています。ただし全部の業務ではなく、呼吸用保護具の使用が必要な作業や、作業環境測定の評価が第三管理区分の場所での業務などに限られます。
重量物の制限の考え方
女性則第2条第1項第1号の重量物は、年少則と違って性別の区分がなく、年齢だけで分かれます。
| 年齢(女性則第2条) | 断続作業 | 継続作業 |
|---|---|---|
| 満16歳未満 | 12kg以上 | 8kg以上 |
| 満16歳以上満18歳未満 | 25kg以上 | 15kg以上 |
| 満18歳以上 | 30kg以上 | 20kg以上 |
覚え方は「大人の女性は30・20」。満18歳未満の女性の数字(12・8、25・15)は年少則の「女」と同じなので、年少則の表を覚えれば女性則の表も埋まります。そして重量物は女性則第3条で妊産婦以外の女性にも準用されるので、「妊産婦でなければ30kgを超えてもよい」という選択肢は誤りです。
産前産後休業・育児時間など関連条文
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 労基法第65条第1項 | 6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定の女性が請求したら就業させない |
| 労基法第65条第2項 | 産後8週間は就業させない(請求不要)。産後6週間を経過した女性が請求し、医師が支障なしと認めた業務は可 |
| 労基法第65条第3項 | 妊娠中の女性が請求したら、他の軽易な業務に転換させる |
| 労基法第66条 | 妊産婦が請求したら、変形労働時間制でも週40時間・1日8時間を超えさせない。時間外・休日労働・深夜業もさせない |
| 労基法第67条 | 生後満1年に達しない生児を育てる女性は、休憩時間のほか1日2回各々少なくとも30分の育児時間を請求できる |
| 労基法第68条 | 生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したら、生理日に就業させない |
産前は「請求したら」、産後8週間は「請求がなくても禁止」と、請求の要否が逆になっているのがポイントです。
試験での入れ替えパターン
- 対象のすり替え:「重量物の制限は妊産婦に限られる」→ 誤り。全女性に及ぶ(女性則第3条)
- 年齢のすり替え:年少者の基準を満16歳にする → 就業制限・坑内労働の基準は満18歳未満。16歳は重量物の区分と深夜業の例外で出てくる数字
- 数字の入れ替え:断続と継続を逆にする(断続のほうが重い数字)
- 請求の要否:産前休業を「請求がなくても就業禁止」、産後8週間を「請求により」とする
- 育児時間の数字:1日2回各30分を「45分」「1時間」にする
労働時間・有給休暇など労働基準法のほかの範囲は労働基準法の出るところ、関係法令の数字全般は関係法令の数字の覚え方で整理しています。
本番形式の問題で確かめる
この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。
事務所の設備の点検及び清掃に関する次の記述のうち、事務所衛生基準規則上、誤っているものはどれか。
健康診断の結果の報告に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。
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よくある質問
衛生管理者試験でいう「妊産婦」とは誰のことですか?
労働基準法第64条の3第1項で、「妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性」を妊産婦と定義しています。産後8週間(産後休業)ではなく「産後1年」までが妊産婦です。
重量物の制限は妊産婦だけですか?
いいえ。女性労働基準規則第3条で、重量物を取り扱う業務(第2条第1項第1号)と一定の有害物を発散する場所の業務(同第18号)は、妊産婦以外の女性にも就かせてはならないとされています。満18歳以上なら断続作業30kg以上・継続作業20kg以上です。
年少者は何歳未満のことですか?
労働基準法第62条・第63条などの就業制限は「満18才に満たない者」が対象です。坑内労働は満18才未満は一律に禁止(第63条)、深夜業も原則禁止(第61条)です。
産後の女性は、産後1年まで有害業務が全部禁止ですか?
一部だけです。女性労働基準規則第2条第2項で、産後1年を経過しない女性に就かせてはならない業務のうち、ボイラーの取扱いなど多くの業務は「本人が従事しない旨を申し出た場合に限る」とされています。重量物(第1号)や一定の有害物発散場所(第18号)、振動(第24号)は申出の有無にかかわらず禁止です。
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出典
数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者」
- 安全衛生技術試験協会「試験の日程」
- 安全衛生技術試験協会「試験手数料」
- 安全衛生技術試験協会「統計」
- 労働基準法(e-Gov法令検索)
- 年少者労働基準規則(e-Gov法令検索)
- 女性労働基準規則(e-Gov法令検索)
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