衛生管理者の資格と業種に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。
衛生管理者の選任人数の数え方:派遣社員・パート・役員・事業場の単位
「正社員は40人だけど、パートと派遣社員を足すと50人を超える。衛生管理者は要る?」という人事・総務の担当者向けの記事です。結論から言うと、パート・アルバイト・派遣社員も常態として使用していれば含めて数え、会社全体ではなく事業場(場所)ごとに数えます。派遣社員は派遣元・派遣先の双方でカウントされます。
「常時使用する労働者」の考え方(パート・アルバイト)
結論
常時50人以上かどうかは事業場ごとに判断(労働安全衛生法第12条、施行令第4条)。パート・アルバイトも常態として使用していれば含む。派遣労働者は派遣先・派遣元の両方の人数に含む(派遣法第45条、厚生労働省資料)。事業場は主として場所で区切り、小さく独立性のない営業所は直近上位の事業場と一括します。
労働安全衛生法の「労働者」は、労働基準法第9条に規定する労働者です(同法第2条第2号)。雇用形態で区別する規定はありません。労働局の資料では、常時使用する労働者には正社員のほか、パートタイマー、アルバイト、派遣労働者等、常態として使用する労働者も含むと説明されています。つまり「正社員だけで50人未満だから不要」とは言えません。短期・日雇いの人をどこまで含めるかなど、境界の判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
派遣労働者の数え方(派遣元・派遣先)
労働者派遣法第45条は、衛生管理者の選任(安衛法第12条)について、派遣先も派遣中の労働者を使用する事業者とみなして適用し(第1項)、派遣元にも適用する(第2項)と定めています。厚生労働省の資料はこれを次のように説明しています。
| 立場 | 労働者数の数え方 |
|---|---|
| 派遣先 | 派遣先が雇用する労働者と、派遣先で就業する派遣労働者の合計 |
| 派遣元 | 派遣労働者も含めた人数で判断 |
派遣社員を多く受け入れている事業場は、自社の社員数だけで判断すると選任漏れになりやすいので注意してください。なお派遣労働者の一般的な健康管理(一般健康診断など)は派遣元、就業に伴う具体的な衛生管理は派遣先が責任を負う、という役割分担になっています。
役員は含むか
数えるのは「労働者」なので、使用されて賃金を支払われる立場にない役員は、通常は対象外と考えられます。ただし取締役でも従業員として指揮命令を受けて働いている場合(いわゆる使用人兼務役員)などは、労働者に当たるかを個別に判断する必要があります。この点について一般的な基準を示した一次資料は確認できなかったため、所轄の労働基準監督署に確認してください。
事業場の単位(場所的観念)と本社・営業所
労働安全衛生法の事業場の考え方は、労働基準法と同じとされています(昭和47年9月18日付け発基第91号)。要点は次のとおりです。
- 事業場とは、工場・事務所・店舗などのように、一定の場所で相関連する組織のもとに継続的に行われる作業の一体
- 一の事業場かどうかは主として場所的観念で決める。同一場所は原則一つ、場所が分かれていれば原則別の事業場
- 同じ場所でも、労働の態様が著しく異なる部門(工場内の診療所など)は別の事業場とすることがある
- 場所が離れていても、出張所・支所などで規模が著しく小さく独立性がないものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場とする
たとえば本社50人未満・工場50人以上なら、工場には衛生管理者が必要です。逆に会社全体で50人を超えていても、各拠点がそれぞれ50人未満なら、衛生管理者ではなく衛生推進者等の対象になります(衛生推進者と衛生管理者の違い)。衛生管理者は原則その事業場に専属なので(労働安全衛生規則第7条第1項第2号)、本社の衛生管理者が別の事業場の衛生管理者を兼ねる形は原則として取れません。
人数が増減したときの対応
本番形式の問題で確かめる
この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。
産業医の選任に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
産業医に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。
関連する分野を練習する
よくある質問
派遣社員は、派遣元と派遣先のどちらの人数に入りますか?
衛生管理者の選任(労働安全衛生法第12条)は、労働者派遣法第45条で派遣先にも派遣元にも適用されます。厚生労働省の資料では、派遣元事業場の労働者数は派遣労働者も含めた人数で判断し、派遣先の労働者数は派遣先が雇用する労働者と派遣先で就業する派遣労働者の合計としています。つまり派遣労働者は双方で数える扱いです。
アルバイトやパートも50人に含めますか?
労働局の資料では、常時使用する労働者には正社員のほか、パートタイマー、アルバイト、派遣労働者等「常態として使用する労働者」も含むとしています。週の勤務日数が少ない人などを含めるかの判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署に確認してください。
役員は人数に含めますか?
労働安全衛生法の「労働者」は労働基準法第9条の労働者です(同法第2条第2号)。使用されて賃金を支払われる者ではない役員は通常含まれないと考えられますが、役員でも従業員として働いている(使用人兼務役員など)場合の扱いは個別に判断が必要です。一次資料で一般的な基準を確認できなかったため、所轄の労働基準監督署に確認してください。
本社の衛生管理者が営業所の衛生管理者を兼務できますか?
衛生管理者は原則としてその事業場に専属の者を選任します(労働安全衛生規則第7条第1項第2号)。営業所が独立した事業場で常時50人以上なら、その営業所にも専属の衛生管理者が必要です。営業所が小規模で独立性がなく本社と一括して一つの事業場とされる場合は、本社の人数に含めて数えます。
関連する記事
出典
数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
- 労働者派遣法(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「派遣労働者の安全衛生の確保のために」(厚生労働省)
- 派遣先(厚生労働省)
- 長崎労働局リーフレット(厚生労働省)
- 和歌山産業保健総合支援センター(wakayamas.johas.go.jp)
このサイトは公益財団法人安全衛生技術試験協会とは関係のない学習用サービスです。法令の解釈や会社での運用は、所轄の労働基準監督署や専門家(社会保険労務士など)に確認してください。編集方針