衛生推進者と衛生管理者の違い:5⁠0⁠人⁠未⁠満の事業場で必要なこと

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「うちは5⁠0⁠人⁠未⁠満だから衛生管理者は要らない。でも何もしなくていいの?」という人事・総務の担当者向けの記事です。結論から言うと、常時1⁠0⁠人⁠以⁠上5⁠0⁠人⁠未⁠満の事業場では、衛生管理者の代わりに衛生推進者(製造業・建設業などは安全衛生推進者)を選任する義務があります(労働安全衛生法第⁠1⁠2⁠条⁠の⁠2)。免許は不要ですが、講習修了や実務経験などの要件があります。

1⁠0⁠人⁠以⁠上5⁠0⁠人⁠未⁠満の事業場の義務

結論

常時5⁠0⁠人⁠以⁠上=衛生管理者(免許等が必要・監督署へ選任報告)。常時1⁠0⁠人⁠以⁠上5⁠0⁠人⁠未⁠満=衛生推進者または安全衛生推進者(講習修了・実務経験等で可・届出なし・氏名を周知)。どちらも選任すべき事由が発生した日から1⁠4⁠日以内に選任します。

規模(⁠常⁠時⁠使⁠用⁠す⁠る⁠労⁠働⁠者⁠)選任するもの
5⁠0⁠人⁠以⁠上衛生管理者・産業医(⁠衛⁠生⁠委⁠員⁠会⁠も⁠設⁠置⁠)
1⁠0⁠人⁠以⁠上5⁠0⁠人⁠未⁠満安全衛生推進者 または 衛生推進者(労働安全衛生規則第⁠1⁠2⁠条⁠の⁠2)

推進者の担当は、労働安全衛生法第⁠1⁠0⁠条⁠第⁠1⁠項各号の業務(健康障害を防止する措置、安全衛生教育、健康診断、労働災害の原因調査など)です。衛生推進者の場合は、そのうち衛生に係る業務に限られます(同法第⁠1⁠2⁠条⁠の⁠2)。人数の数え方(パート・アルバイト・派遣社員)は選任人数の数え方で整理しています。

衛生推進者と安全衛生推進者の区別(⁠業⁠種⁠)

どちらを選ぶかは業種で決まります。安全管理者が必要になる業種(施行令第⁠2⁠条⁠第⁠1⁠号・第2号)では安全衛生推進者、それ以外では衛生推進者です(同法第⁠1⁠2⁠条⁠の⁠2)。

区分業種の例
安全衛生推進者林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売・小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業など
衛生推進者上記以外(社会福祉施設、飲食店、食料品小売業、教育研究業など)

衛生推進者になれる人(衛生管理者免許保持者を含む)

衛生推進者は、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者その他必要な能力を有すると認められる者から選任します(労働安全衛生規則第⁠1⁠2⁠条⁠の⁠3)。具体的な基準(昭和6⁠3⁠年労働省告示第80号)は次の⁠と⁠お⁠りです。

つまり衛生管理者の免許を持っている人は衛生推進者になれます。原則はその事業場に専属の者ですが、労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタントなどから選ぶ場合は専属でなくてもかまいません(⁠同⁠条⁠第⁠1⁠項⁠第⁠2⁠号⁠)。

選任後の周知(⁠届⁠出⁠は⁠不⁠要⁠)

衛生推進者を選任したら、氏名を作業場の見やすい箇所に掲示するなどして関係労働者に周知します(労働安全衛生規則第⁠1⁠2⁠条⁠の⁠4)。衛生管理者のような監督署への選任報告の規定はありません。ただし、選任したことを後から示せるよう、任命の記録は社内に残しておきましょう。

人数が5⁠0⁠人を超えたときの切替え

常時5⁠0⁠人⁠以⁠上になると、推進者ではなく衛生管理者の選任が必要になります。期限は選任すべき事由が発生した日から1⁠4⁠日以内です(労働安全衛生規則第⁠7⁠条⁠第⁠1⁠項⁠第⁠1⁠号)。同時に産業医の選任と衛生委員会の設置も必要になります。衛生管理者は免許が要るため、人数が増えそうな段階で社内の候補者に受験してもらうのが確実です(衛生管理者は何人から必要?・受験資格)。いつの時点で常時5⁠0⁠人⁠以⁠上と判断するかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。

出⁠典:e-Gov法令検索の現行条文(労働安全衛生法 [e-Gov]、労働安全衛生規則 [e-Gov])、長崎労働局「安全衛生推進者・衛生推進者を選任していますか」(告示第80号の資格要件・業種の例)[厚生労働省]。2⁠0⁠2⁠6⁠年10月2⁠3⁠日確認。

本番形式の問題で確かめる

この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。

第1問 / 3関係法令

衛生管理者の選任に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。

第2問 / 3関係法令

衛生管理者の資格と業種に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。

第3問 / 3関係法令

産業医の選任に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。

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よくある質問

衛生管理者の免許を持っていれば衛生推進者になれますか?

安全衛生推進者等の選任に関する基準(昭和6⁠3⁠年労働省告示第80号)では、衛生管理者の資格を有する者も衛生推進者になれる者に挙げられています(労働局のリーフレットで確認)。5⁠0⁠人⁠未⁠満の事業場で免許保持者がいれば、その人を衛生推進者に選任できます。

衛生推進者の選任は労働基準監督署に届け出ますか?

衛生管理者と違い、衛生推進者・安全衛生推進者には監督署への選任報告の規定はありません。その代わり、氏名を作業場の見やすい箇所に掲示するなどして関係労働者に周知します(労働安全衛生規則第⁠1⁠2⁠条⁠の⁠4)。

管理監督者は衛生推進者になれないのですか?

衛生推進者の資格要件(労働安全衛生規則第⁠1⁠2⁠条⁠の⁠3、告示第80号)は、講習の修了や実務経験などで定められており、管理監督者であることを理由に選任できないとする規定は、確認した条文・資料には見当たりませんでした。社内の誰を選ぶかで迷う場合は、所轄の労働基準監督署に確認してください。

従業員が1⁠0⁠人⁠未⁠満なら何も要りませんか?

衛生推進者等の選任義務は常時1⁠0⁠人⁠以⁠上の事業場です(労働安全衛生規則第⁠1⁠2⁠条⁠の⁠2)。1⁠0⁠人⁠未⁠満でも、健康診断などほかの義務はなくなりません。また委員会を設けていない事業者は、安全・衛生に関する事項について関係労働者の意見を聴く機会を設けるようにしなければなりません(同規則第⁠2⁠3⁠条⁠の⁠2)。

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出典

数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。

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