食中毒の覚え方:細菌・ウイルスの原因食品と潜伏期間

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食中毒は、労働衛生(⁠有⁠害⁠業⁠務⁠以⁠外⁠)で1⁠問出ることが多いテーマです。問われるのは菌の名前と「⁠感⁠染⁠型⁠か⁠毒⁠素⁠型⁠か⁠」「⁠熱⁠に⁠強⁠い⁠か⁠弱⁠い⁠か⁠」「⁠原⁠因⁠食⁠品⁠」「⁠潜⁠伏⁠期⁠間⁠」の組み合わせ。語呂合わせを覚える前に、厚生労働省・食品安全委員会の資料に沿った対応表を一度作っておくと、入れ替え問題に強くなります。

感染型と毒素型の区別

結論

食物内毒素型は食品中でできた毒素を食べて起こる(黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌)。サルモネラ・腸炎ビブリオ・カンピロバクターは感染型。黄色ブドウ球菌の毒素は熱に強い、ボツリヌスの毒素は熱に弱い。ウエルシュ菌はカレー・シチューの大量調理、芽胞が加熱に耐える。潜伏期間はブドウ球菌が最短(⁠数⁠時⁠間⁠)、カンピロバクターが長い(⁠2⁠〜⁠7⁠日⁠)。ノロウイルスは冬。

厚生労働省の資料「食中毒原因物質の分類」では、細菌を次のように分けています。

分類主な菌
毒素型(⁠食⁠物⁠内⁠毒⁠素⁠型⁠)ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌など
毒素型(⁠生⁠体⁠内⁠毒⁠素⁠型⁠)ウエルシュ菌、腸管出血性大腸菌など
感染型サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなど

食物内毒素型は、食品の中で菌が作った毒素を食べて起こります。たとえば黄色ブドウ球菌は、汚染された食品中で産生されたエンテロトキシンを摂取して起こり、潜伏期間は0.5〜6⁠時⁠間(⁠平⁠均⁠3⁠時⁠間⁠)と短いのが特徴です。一方、ウエルシュ菌は、ヒトの腸管内で増殖して芽胞を作るときに産生する毒素で起こる生体内毒素型です。同じ「⁠毒⁠素⁠」でも、食品中であ⁠ら⁠か⁠じ⁠め作られるのか、体内で作られるのかで分かれる点に注意しましょう。

主な細菌(サルモネラ・腸炎ビブリオ・黄色ブドウ球菌・ボツリヌス・ウエルシュ等)

原因特徴・原因食品・潜伏期間
黄色ブドウ球菌食品中で産生された毒素(⁠エ⁠ン⁠テ⁠ロ⁠ト⁠キ⁠シ⁠ン⁠)による。毒素は耐熱性が高く通常の加熱では失活しない。潜伏期間0.5〜6⁠時⁠間。悪心・嘔吐・下痢
ボツリヌス菌芽胞を作る偏性嫌気性菌。酸素のない状態の食品(びん詰・缶詰・容器包装詰め食品、いずしなど)が原因になりやすい。毒素は易熱性。神経麻痺性の症状。乳児はハチミツが原因食品に
ウエルシュ菌芽胞を作る偏性嫌気性菌。耐熱性芽胞は1⁠0⁠0⁠℃で1〜6⁠時⁠間でも生き残る。カレー・シチューなどの煮物や大量調理食品。潜伏期間6〜1⁠8⁠時⁠間(⁠平⁠均⁠1⁠0⁠時⁠間⁠)
サルモネラ属菌動物の腸内や自然界に広く生息。卵やその加工品、食肉など。半日〜2⁠日程度で腹痛・下痢・発熱・嘔吐。肉・卵は7⁠5⁠℃⁠以⁠上で1⁠分⁠以⁠上の加熱が大切
腸炎ビブリオ海に生息。汚染された魚介類を生や加熱不十分で食べて起こる。真水・酸・熱に弱く、低温ではあまり増殖しない。魚介類は真水でよく洗い、冷蔵する
カンピロバクター少ない菌量で感染。潜伏期間2〜7⁠日(⁠平⁠均⁠2⁠〜⁠3⁠日⁠)と長い。鶏の刺身・タタキ・鶏レバーなど鶏料理が多い

ウエルシュ菌は、加熱調理後に放置すると、ほかの菌が死んで耐熱性芽胞だけが残り、加熱で食品内の酸素が追い出されることで増殖しやすくなります。「⁠加⁠熱⁠し⁠た⁠か⁠ら⁠安⁠全⁠」「⁠好⁠気⁠性⁠の⁠菌⁠」という選択肢がひっかけです。

ウイルス(⁠ノ⁠ロ⁠ウ⁠イ⁠ル⁠ス⁠)

熱に強い・弱いの対応

熱に強い(⁠加⁠熱⁠で⁠防⁠ぎ⁠に⁠く⁠い⁠)熱に弱い
黄色ブドウ球菌の毒素(⁠エ⁠ン⁠テ⁠ロ⁠ト⁠キ⁠シ⁠ン⁠)ボツリヌス菌の毒素
ウエルシュ菌の耐熱性芽胞腸炎ビブリオ(⁠真⁠水⁠・⁠酸⁠に⁠も⁠弱⁠い⁠)
ボツリヌス菌の芽胞(耐熱性の高いものがある)黄色ブドウ球菌の菌自体(⁠耐⁠熱⁠性⁠は⁠高⁠く⁠な⁠い⁠)

同じ菌でも「⁠菌⁠(⁠⁠⁠芽⁠⁠⁠胞⁠⁠⁠)⁠」と「⁠毒⁠素⁠」で熱への強さが違うのがポイントです。選択肢を読むときは、主語が菌なのか毒素なのかを必ず確認しましょう。

試験で入れ替えられる組み合わせ

語呂合わせを使う場合も、この対応表のどこを覚える語呂なのかを決めてから使うと、ひっかけに惑わされにくくなります。救急処置など同じ科目のほかのテーマは救急処置と救急用具の覚え方で整理しています。

出⁠典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「第⁠一⁠種⁠・⁠第⁠二⁠種衛生管理者」「⁠試⁠験⁠の⁠日⁠程⁠」「⁠試⁠験⁠手⁠数⁠料⁠」「⁠統⁠計⁠」(2⁠0⁠2⁠6⁠年10月2⁠3⁠日確認)。試験の最新情報は同協会の公式サイトで確認してください。 厚生労働省「食中毒原因物質の分類」[厚生労働省]、食品安全委員会ファクトシート(ブドウ球菌食中毒 [出典]、ウエルシュ菌食中毒 [出典]、カンピロバクター [出典]、ボツリヌス症 [出典])、厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」[厚生労働省]、厚生労働省 WEBマガジン「⁠厚⁠生⁠労⁠働⁠」2⁠0⁠2⁠4⁠年8月号(サルモネラ属菌・腸炎ビブリオ)[厚生労働省](いずれも2⁠0⁠2⁠6⁠年10月2⁠3⁠日確認)。

本番形式の問題で確かめる

この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。

第1問 / 3労働衛生

異物による気道閉塞(⁠窒⁠息⁠)への対応に関する次の記述のうち、JRC蘇生ガイドライン2020に照らして、誤っているものはどれか。

第2問 / 3労働衛生

一次救命処置に関する次の記述のうち、JRC蘇生ガイドライン2020に照らして、正しいものはどれか。

第3問 / 3労働衛生

ファーストエイドに関する次の記述のうち、JRC蘇生ガイドライン2020に照らして、誤っているものはどれか。

関連する分野を練習する

よくある質問

黄色ブドウ球菌の食中毒は加熱で防げますか?

菌自体の耐熱性は高くありませんが、食品中で産生される毒素(⁠エ⁠ン⁠テ⁠ロ⁠ト⁠キ⁠シ⁠ン⁠)は耐熱性が高く、通常の加熱調理では活性を失いません(食品安全委員会ファクトシート)。潜伏期間は0.5〜6⁠時⁠間(⁠平⁠均⁠3⁠時⁠間⁠)と短いのが特徴です。

ボツリヌス菌の毒素は熱に強いですか?

ボツリヌス菌の芽胞には耐熱性が高いものがありますが、産生される毒素は易熱性で、8⁠0⁠℃で2⁠0⁠分又は1⁠0⁠0⁠℃で1〜2⁠分間の加熱で不活化されるとされています(食品安全委員会ファクトシート)。「芽胞は熱に強い、毒素は熱に弱い」と分けて覚えます。

ノロウイルスは夏に多いのですか?

一年を通して発生しますが、特に冬季に流行します。潜伏期間は24〜4⁠8⁠時⁠間で、二枚貝などは中心部が85〜9⁠0⁠℃で90秒以上の加熱が望まれるとされています(厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。消毒用エタノールは、完全に失活化する方法としては挙げられていません。

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出典

数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。

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