事業場の常時使用する労働者数と、法令上選任しなければならない衛生管理者の最少人数との組合せとして、正しいものはどれか。
安全衛生教育の覚え方:雇入れ時教育・特別教育・省略できる場合
安全衛生教育で迷うのは、「雇入れ時教育を省略できるのはどんな場合か」と「特別教育が必要な業務はどれか」です。とくに雇入れ時教育の省略は、2024年4月1日施行の改正で業種による省略がなくなったので、古い教材のままだと逆の答えを覚えてしまいます。労働安全衛生法第59条・第60条と労働安全衛生規則第35条〜第40条の現行条文で整理します。
雇入れ時・作業内容変更時の教育と省略
結論
雇入れ時・作業内容変更時の教育は全業種で8項目が対象。省略できるのは十分な知識・技能がある労働者のその事項だけで、業種による省略規定は削除されました。特別教育は衛生関係なら酸欠・特定粉じん・エックス線・石綿などで、記録は3年保存。
労働安全衛生法第59条第1項は、労働者を雇い入れたときに、従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うことを事業者に義務付けています。第2項で、作業内容を変更したときにも準用されます。内容は労働安全衛生規則第35条第1項の8項目のうち、その労働者の業務に必要な事項を、遅滞なく行います。
- 1 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法
- 2 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法
- 3 作業手順
- 4 作業開始時の点検
- 5 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防
- 6 整理、整頓及び清潔の保持
- 7 事故時等における応急措置及び退避
- 8 その他当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
| 時期 | 省略の扱い(第35条) |
|---|---|
| 2024年4月1日より前 | 第1項ただし書で、施行令第2条第3号の業種(同条第1号・第2号に掲げる業種以外の「その他の業種」)の事業場は第1号〜第4号を省略できた |
| 現行 | 業種による省略規定はない。十分な知識及び技能を有していると認められる労働者について、その事項の教育を省略できる(第2項) |
この改正はe-Gov法令検索で、2024年3月31日時点の条文(ただし書あり)と2024年4月1日時点の条文(ただし書なし)を照合して確認しました。「事務所なので機械の危険性の教育は省略できる」という選択肢は、現行の条文では誤りになります。
特別教育が必要な業務(衛生関係)
危険又は有害な業務で省令で定めるものに就かせるときは、特別の教育を行います(法第59条第3項)。対象業務は労働安全衛生規則第36条に列挙されていて、衛生関係でよく問われるのは次の業務です。
| 安衛則第36条 | 業務 |
|---|---|
| 第21号〜第24号の2 | 高圧室内作業の作業室・気こう室への送気(排気)の調節、潜水作業者への送気の調節、再圧室の操作、高圧室内作業に係る業務 |
| 第25号 | 四アルキル鉛等業務 |
| 第26号 | 酸素欠乏危険場所における作業に係る業務 |
| 第28号 | エックス線装置又はガンマ線照射装置を取り扱う業務(遮へいされた構造の装置を使う業務などを除く) |
| 第29号 | 粉じん障害防止規則の特定粉じん作業に係る業務(設備による注水・注油をしながら行う作業を除く) |
| 第34号〜第36号 | 廃棄物の焼却施設のばいじん・焼却灰の取扱い、設備の保守点検・解体等 |
| 第37号 | 石綿障害予防規則第4条第1項に掲げる作業に係る業務 |
有機溶剤業務・特定化学物質の業務は、特別教育ではなく作業主任者(技能講習修了者)で管理するのが基本、という整理が役立ちます。特別教育の科目は、十分な知識・技能があると認められる労働者について省略でき(第37条)、行ったときは受講者・科目等の記録を作成して3年間保存します(第38条)。
職長教育
労働安全衛生法第60条は、政令で定める業種で、新たに職務につくことになった職長その他の作業中の労働者を直接指導・監督する者(作業主任者を除く)に、作業方法の決定・労働者の配置、指導・監督の方法などの教育を行うことを求めています。対象業種は施行令第19条で、建設業、製造業(一部を除く)、電気業、ガス業、自動車整備業、機械修理業です。
| 事項(安衛則第40条) | 時間 |
|---|---|
| 作業方法の決定・労働者の配置(作業手順の定め方など) | 2時間以上 |
| 指導・監督の方法 | 2.5時間以上 |
| 危険性・有害性等の調査と措置 | 4時間以上 |
| 異常時・災害発生時の措置 | 1.5時間以上 |
| 設備等の保守管理・災害防止の関心の保持など | 2時間以上 |
危険性・有害性等の調査(リスクアセスメント)の方法とその結果に基づく措置も職長教育の事項に入っています。リスクアセスメントそのものはリスクアセスメントの覚え方で整理しています。
記録の保存
- 特別教育:受講者・科目等の記録を3年間保存(安衛則第38条)
衛生委員会の付議事項には「衛生教育の実施計画の作成に関すること」が含まれます(安衛則第22条第4号)。記録の保存年数をまとめて覚えたいときは関係法令の数字の覚え方を参照してください。
本番形式の問題で確かめる
この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。
法令に基づく健康診断の実施に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
衛生管理者の選任に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
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よくある質問
雇入れ時教育は業種によって省略できますか?
現行の労働安全衛生規則第35条には、業種による省略の規定はありません。以前は第1項ただし書で、一定の業種(施行令第2条第3号の業種)の事業場は第1号〜第4号の事項を省略できるとされていましたが、2024年4月1日施行の改正で削除されています。省略できるのは、十分な知識及び技能を有していると認められる労働者について、その事項の教育を省略する場合です(第35条第2項)。
特別教育の記録は何年保存しますか?
特別教育を行ったときは、受講者・科目等の記録を作成して3年間保存します(労働安全衛生規則第38条)。
有機溶剤業務は特別教育が必要ですか?
労働安全衛生規則第36条の特別教育の業務の一覧には、有機溶剤業務は挙がっていません。有機溶剤は作業主任者(技能講習修了者)の選任などで管理します。一方、酸素欠乏危険作業(第26号)や特定粉じん作業(第29号)、石綿の作業(第37号)は特別教育の対象です。
職長教育はどの業種で必要ですか?
労働安全衛生法第60条と施行令第19条で、建設業、製造業(たばこ製造業、繊維工業・衣服その他の繊維製品製造業・紙加工品製造業の一部などを除く)、電気業、ガス業、自動車整備業、機械修理業が対象です。新たに職務につく職長等(作業主任者を除く)に行います。
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出典
数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者」
- 安全衛生技術試験協会「試験の日程」
- 安全衛生技術試験協会「試験手数料」
- 安全衛生技術試験協会「統計」
- 労働安全衛生法(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生法施行令(e-Gov法令検索)
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
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