作業主任者の選任に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
保護具着用管理責任者とは:衛生管理者が兼務できるか・選任が要る事業場
化学物質規制の見直しで新しく出てきた「保護具着用管理責任者」を誰にすればいいか迷っている、人事・総務・安全衛生の担当者向けの記事です。結論から言うと、化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果に基づいて労働者に保護具を使わせるときに選任が必要で(労働安全衛生規則第12条の6、令和6年4月1日施行)、第一種衛生管理者は選任できる資格者の一つです。
選任が必要な事業場(化学物質の自律的管理)
結論
選任が要る:リスクアセスメント対象物を製造・取扱い、その結果に基づく措置として保護具を使わせる事業場(業種・規模を問わない)。期限は14日以内。要件は第一種衛生管理者・衛生工学衛生管理者・労働衛生コンサルタント・作業主任者などの資格者、または保護具着用管理責任者教育の受講者。適切に職務が行える範囲で他の職務との兼務は可。
化学物質の自律的管理の仕組みでは、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う事業場ごとに化学物質管理者を選任します(労働安全衛生規則第12条の5)。その事業者が、リスクアセスメントの結果に基づく措置として労働者に保護具を使用させるときに、保護具着用管理責任者を選任します(第12条の6第1項)。
厚生労働省のQ&Aは、選任が必要な場合を次のように説明しています。
- リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う事業場で、リスクアセスメントの結果に基づく措置として労働者に保護具を使用させる場合
- 特化則・有機則などの特別規則で、第三管理区分の作業場について作業環境の改善が困難と判断された場合など
いずれも業種や規模にかかわらず、該当する全ての事業場で選任しなければなりません。常時50人未満で衛生管理者がいない事業場でも、該当すれば選任が必要です。
選任要件(衛生管理者免許等)
選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に、保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者のうちから行います(第12条の6第2項)。施行通達(基発0531第9号)は、これに次の者が含まれるとしています。
| 選任できる者(通達の列挙) |
|---|
| 化学物質管理専門家の要件に該当する者 |
| 作業環境管理専門家の要件に該当する者 |
| 労働衛生コンサルタント試験に合格した者 |
| 第一種衛生管理者免許又は衛生工学衛生管理者免許を受けた者 |
| 一定の作業(特定化学物質・鉛・四アルキル鉛・有機溶剤など)の作業主任者の資格を有する者 |
| 安全衛生推進者の講習を修了した者など(安全衛生推進者に係るもの) |
これらの者を選任できない場合は、保護具着用管理責任者教育を受講した者を選任します。上の資格者でも受講が望ましいとされています。教育のカリキュラムは学科5時間・実技1時間の計6時間です(令和4年12月26日付け基安化発1226第1号)。
保護具着用管理責任者の職務
- 保護具の適正な選択に関すること
- 労働者の保護具の適正な使用に関すること
- 保護具の保守管理に関すること
事業者は、選任した者にこれらの業務をなし得る権限を与え、氏名を事業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知します(第12条の6第3項・第4項)。通達は、腕章・特別の帽子・イントラネットでの周知も「等」に含まれるとしています。防じんマスク・防毒マスクの選び方は試験範囲でもあり、基礎を押さえておくと実務の説明に役立ちます。
化学物質管理者との違い
| 項目 | 化学物質管理者(第12条の5) | 保護具着用管理責任者(第12条の6) |
|---|---|---|
| 選任する場面 | リスクアセスメント対象物を製造・取扱い(譲渡・提供する事業場も) | 化学物質管理者を選任した事業者が、リスクアセスメントの結果に基づき保護具を使わせるとき |
| 管理する範囲 | ラベル・SDS、リスクアセスメント、措置、記録、教育など化学物質管理全般 | 保護具の選択・使用・保守管理 |
| 要件 | 製造事業場は厚生労働大臣が定める講習の修了者等 | 第一種衛生管理者等の資格者、または保護具着用管理責任者教育の受講者 |
どちらも期限は14日以内で、権限の付与と氏名の周知が必要です。Q&Aは、適切に職務が行える範囲で両者の兼務を認めています。
衛生管理者との兼務
第一種衛生管理者は選任要件を満たすので、衛生管理者が保護具着用管理責任者を兼ねるのは自然な選択肢です。厚生労働省のQ&Aは、適切に職務が行える範囲で化学物質管理者や作業主任者等と兼務して差し支えないとし、複数の作業場所でそれぞれ選任・配置することも認めています。ただし第三管理区分の作業場で改善が困難な場合の措置として選任するときは、作業主任者との兼務はできません。衛生管理者には毎週の巡視など自分の職務があるため(職場巡視の中身)、業務量を見て判断し、迷う場合は所轄の労働基準監督署に確認してください。
本番形式の問題で確かめる
この記事の範囲から、本番と同じ五肢択一を3問。選ぶと正誤と解説が出ます(学習の記録には残りません)。
有機溶剤中毒予防規則に基づき、作業環境測定の評価の結果、第三管理区分に区分された場所での措置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
次の業務のうち、労働安全衛生規則に基づき、労働者を就かせるときに特別の教育を行わなければならないものはどれか。
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よくある質問
第一種衛生管理者は保護具着用管理責任者になれますか?
厚生労働省の施行通達(令和4年5月31日付け基発0531第9号)は、「保護具に関する知識及び経験を有すると認められる者」に、第一種衛生管理者免許又は衛生工学衛生管理者免許を受けた者を含めています。第一種衛生管理者は選任要件を満たす資格者の一つです。第二種衛生管理者免許はこの列挙に名前では挙がっていませんが、通達は安全衛生推進者の選任基準(昭和63年労働省告示第80号)に該当する者なども含めているため、該当するかは個別に確認してください。
保護具着用管理責任者と衛生管理者は兼務できますか?
厚生労働省のQ&Aは、適切に職務が行える範囲であれば、化学物質管理者や作業主任者「等」と兼務して差し支えないとしています。衛生管理者との兼務を禁じる規定は確認した通達・Q&Aには見当たりませんが、衛生管理者は毎週の巡視など自分の職務もあるため、両方を適切に行えるかで判断してください。迷う場合は所轄の労働基準監督署に確認を。
保護具着用管理責任者の選任は監督署に報告しますか?
労働安全衛生規則第12条の6は、選任した者に権限を与えることと、氏名を事業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知することを定めています。監督署への選任報告の規定はありません。
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出典
数値・条文は次の一次資料で確認しています(確認日は本文の注記のとおり)。
- 労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省「化学物質による労働災害防止のための新たな規制について」(厚生労働省)
- 施行通達 基発0531第9号(厚生労働省)
- 厚生労働省
- 保護具着用管理責任者に対する教育の実施について(厚生労働省)
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